プレゼントは君にプレゼントは君に誕生日、結婚記念日、就職祝、入学祝、卒業祝・・・・・お祝いは幾らでもあるけれど、 「なんでもない日、おめでとう。」 そういったのは、覚えているだけではアメリカで誕生した世界的に有名な熊のぬいぐるみの歌の中でだ。 なんでもない日、何にもない日、そんなときに君に。 ああ、これを君が身に着けていたら、とか。 こんな風に君が装っていたら、とか。 想いを押し付けるのは簡単でも、それをいざ贈るとなったらそのタイミングをはかるのは難しい。 わざとらしくなく、さりげなく、それでいて君が驚いてくれなくちゃ僕がつまらない。 だから、今日は考えて。 店の前を通った時に見つけた、ほんの小さなクロスペンダント。 このあいだインターネットのショッピングサイトで見ていたのとおんなじ形で、あれはそんなに高くなかったよな、と思ってそれを見てみると、まぁ、お小遣いで買えない事もないくらいの値段で。 これくらいだったら「なんでもない日」に買って帰っても、不審に思われないかな・・・・・なんて。 そんなことを考えるのも、もう何年も一緒に暮らしている所為であらためてこんなことをしたらきっと君に 「何かやましいことでもあるんじゃないの?」 とか言われるんじゃないかって言う、これは僕の自意識過剰のなせる業で。反対に何にも言われないで「あらいいわね」くらいの反応だったりすると、拍子抜けしちゃうしな・・・・・。 ショーケースの前でうろうろとそんなことを考えながら覗いていたら、店員さんが声を掛けてきた。 あー、もうちょっと見ていたいんですが。 よかったらお出ししますよ、という接客用語にそう答えて、もし買うとしたらそれしかないというクロスペンダントを見続けた。 ありがとうございました。 その声に見送られて、白い紙袋にはいったそれをブランとぶら下げた。 女性には人気のシルバーアクセサリーなんですよ、とか。このロゴ入りのバッグも可愛いって評判なんですよ、とか。よくは解らないことばかりだったけれど、これは君が見ていたのとおんなじだということは解ってるんだから。 さてこれを渡した時の君の反応はどっちだろう、と考えながら。 なんでもない日、何もない日の今日、これを君に渡そう。 いつでも僕からのプレゼントは君に。 |